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これまで洗剤系商品を色々見てきましたが
『環境に優しい』とか『地球に優しい』みたいなことを大々的に掲げている商品がいくつかありましたよね。
商品比較の記事では色々物議になるかなと思って言わなかったのですが…
実はかずのすけはこんな風に
自分から自信満々に「環境に優しい!」「地球に優しい!」とか言っちゃうメーカーが1番信用ならないと思っています。
それってどういうことなの?っていう話をしてみます。
◎「環境・地球に優しい」とはどういうことなのか
ちなみにかずのすけは大学院では「環境学」を専攻していたのでこれに関しては結構詳しい方だと思います。(環境学の修士号を持っています)
とは言ってもガチの環境学者というわけではないのでところどころたどたどしいですが、
今から言う話は環境学界隈では一般論として考えられている内容です。
「地球や環境に優しい」
という言葉を見た時に、一般の人が考えるのはどういうことでしょう。
例えば「木々を伐採しない」とか「動物を殺さない」とかもイメージすると思います。
洗剤に関して言うと「排水が生き物の毒にならない」とかもとても重要です。
あとは「環境ホルモン」や「生分解性」などの影響も大変重要な要素で、
こういった様々な要素を総合的に考えて環境負荷というものは考えられています。
現在では化学製品を製造する多くの企業が環境への配慮を当たり前のように念頭に入れて商品の製造販売を行っていますが、
こういった考え方が公のものとなったのは実はそんなに昔の話ではありません。
というのは、今から40年ほど前の1970年代に国際的に重化学工業というものが発達して、
その結果我々の文化は長大な科学技術の発展を遂げましたが、
一方で原材料の確保のための大規模な森林伐採や天然資源の消費、
産業廃棄物の大量発生によって地球環境に大きなダメージを与えました。
それが人々の生活にも悪影響を与えるようになったのが「公害」と呼ばれるもので、
日本では四日市ぜんそくとか水俣病など様々な公害病も発生し、
小学校や中学校の社会科でも勉強する内容です。
実は「洗剤」に関しても同じ時期にいくつかの環境悪影響を及ぼしていまして、
例えば現在は利用されていない「分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na(ABS)」という成分はもの凄く生分解性(微生物による分解性)が悪く、
当時の市販洗剤にはこの成分が多く使われていたため湖沼に流れた時に分解されず、
河川や湖沼が泡立ってしまうという事態が発生しました。
界面活性剤は水に溶けると水の界面張力(表面張力)を変えるのですが
これがエラ呼吸をしている水棲生物にはとても問題で、界面活性剤濃度が一定以上になるとお魚さんは息が出来なくなって死んでしまうのです。
これが発端となって現在では市販される洗剤に用いられる界面活性剤の生分解性はかなり厳密に調査されるようになっており、
基本的には一定の生分解性水準に達した成分以外配合することが出来ないようになっています。
上記のABS洗剤は、直鎖型の「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na(LAS)」という成分に改良されて現在では市販洗剤の主流成分として利用されています。
特に大企業の作る洗剤は利用量が多く環境にも大きく影響するため、
この点の管理は非常に厳重です。
他には「アルキルフェノールエトキシレート(APE)」という洗剤があり、
これはこれまで生分解性や人への刺激性・安全性にとても優れているとして紹介してきた「非イオン系洗剤」の一種なのですが、
実はこの成分は生分解すると「環境ホルモン物質」を作ってしまう特性があり、
(環境ホルモン…環境中に存在することで生態系の雌雄バランスを崩してしまう物質。主に「オス」が「メス」化するなどの影響がある。)
これもすぐに使用が制限されました。
(構造中の「フェノール部位」が環境ホルモン作用を及ぼすことが明らかになったため、フェノール部位をなくした「アルキルエーテルエトキシレート(AE)」が現在は主流)
今から考えればそれらの公害というものもなるべくしてなったのですが、
ただ、重要なのは
誰しも環境を壊したくてこういった成分を作ったわけではない
ということです。
◎環境に現れる影響を人間が完璧に予測することは絶対に不可能
先ほど湖沼の泡立ち問題になったと話した「分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na(ABS洗剤)」ですが、
なぜ1番最初にこの「ABS洗剤」を作ったのかというと、
この成分は原料に『プロピレン』という物質を利用しています。
これは石油の精製の際に出てくる副生成物で、それまでは産業廃棄物として捨てられるだけの成分だったのですね。
通常の洗剤は石油や油脂から得られるラウリン酸などの一部の成分からしか作れないため、
これだけに製造を頼ると、原料資源の大量消費に繋がると考えて、
産業廃棄物(プロピレン)から新たに洗剤を作る技術が確立されたのです。
これはれっきとしたエコの考え方です。
資源を隈無く利用することで環境に配慮したわけです。
この一側面だけ見れば、ABSだって環境配慮型洗剤と言えたわけです。
でも実際には違ったわけですね。
当時は生分解性なんてほとんど注目されていなかったので、
このような事態になるとは当時の科学者は全く予測できなかったのです。
APEについても刺激性・安全性・分解性オールオッケーと思われたのに、
分解したその後の成分に問題が発生してしまったと。
これも当時の学者は誰も予想できませんでした。
(動物実験で明らかになって比較的早く対処できたので、地球規模の大きな環境汚染にはならなかった)
洗剤成分に関する環境汚染には他にも有名な話があって、
河川・湖沼の『富栄養化』という話があります。
1980年くらいに、
洗剤の洗浄力を引き上げて硬水成分を軟化する成分として『リン酸塩』という物質が市販洗剤に大量に利用されました。
「リン酸塩」は植物や土壌の肥料などとしても利用されている成分で、
生き物に対する毒性は全くありません。
むしろいっぱい食べて元気になるくらいの成分で、
これも最初に利用された時は「生物に毒にならない!」ということで大きくもてはやされたのです。
環境配慮で地球に優しい!とみんなが思っていました。
でも、
誰が予想できたでしょうか。
この成分を栄養素として河川・湖沼に棲むプランクトンなどの微生物が異常に大量発生してしまったのです。
池や湖では「アオコ」と呼ばれる状態になりました。
また海では「赤潮」と呼ばれる状態になりました。
プランクトンが増えるとお魚さんにとっても餌が増えて良い!と思う人もいるかもしれませんが、
実際には全然嬉しくありません。
プランクトンは水中の酸素を吸収して生きているため、
あまりにプランクトンが多くなりすぎると水中の酸素量が少なくなってしまい、
大きな水棲生物が呼吸できなくなってしまって死んでしまうのです。
(赤潮の紅草には毒性もあります。)
このように、栄養成分が多く流入し過ぎたことで
河川や湖沼が栄養豊富になりすぎるとそこに棲む他の生態系に大ダメージとなってしまうのです。
このような環境問題が「富栄養化」です。
今ではリン系成分はほとんど洗剤には配合されなくなって日本においては富栄養化の湖沼はほとんど見られなくなりましたが、
発展途上国などではまだ見られるようです。
この事例も同じく、
最初は「環境に優しい」と思ってやったことが、
全く予想だにしない方向性で環境汚染に繋がっていたのです。
それで、
僕が何を言いたいのか?
というと
「どの化学物質がどんな風に影響して地球環境にどんな作用を及ぼすのか」
それを人間が全て予測することなどは絶対に不可能だということです。
◎「人」に地球や環境に優しいかどうかを判断することはできない
最初に「地球に優しい」ってどういうこと?という話を書いた時に↓こんな画像を載せたのですが、
こういった画像って環境や地球を大変甘く見ているなと僕には感じます。
地球環境や生態系は、人間が予測できる何よりも複雑であり、
人の推し量れるようなものでは決してありません。
なので、人の手のひらの上に地球が乗るっていう表現には凄く違和感を覚えるんです。
まぁこんなのは環境学では当たり前の考え方なので、
まともに環境研究をしているメーカーは、
自社商品が「環境に優しい」とか「地球に優しい」なんてことはほとんど口にしません。
だって、そんなものは人の立場から分かることではないから。
これは人間関係でも同じですが、
「私は他人に優しいです!」
って自分でアピールしている人って気持ち悪くないですか?f(^_^;)
「あの人は優しい人だな」と判断するのはあくまでその優しさに触れた「他人」であって、
自分から言うことではないでしょ。
環境影響も同じで、
環境に優しいかどうかを判断できるのは、「環境」そのひとだけです。
どういうことかというと、
実際にその成分を10年20年使ってみて環境に特に影響が出ていなければ、
「多分優しいんだろうな…」くらいが分かるのが関の山なわけです。
その「影響が出てない」という結果が、「環境」さんからのお返事です。
どんな環境負荷試験を予めしていたとしても、
どんどん新しい問題が現れるのが環境問題の常です。
今説明した生分解性や環境ホルモンや、富栄養化以外にもこれから出てくるかもしれません。
実際10年くらい使ってみて人間の立場からしたら全く問題ないように見えているかもしれませんが、
実は全然予想外のところで重大な環境問題に発展しているかもしれません。
だから人間から一見すると環境に優しそうに見えても、それで環境に優しいを断言するのも不可能です。
この大きな地球環境において人間の手の届かない、目の届かないところは沢山あるのですから。
こないだ話題にした「マグネシウム」も新しい成分だから、はっきり言ってその辺が全然予測できません。
多分大天才の環境学者に聞いても結論は出ないと思う。
その辺の最低限のことも全然分かっていない(少なくとも10年以上の実績が必要な)のに、
なんで「環境に優しい」「地球に優しい」を今の段階から断言できるのか、僕には全く理解できません。
まぁこれに限らず、
30年使われている洗剤だって同じなんです。
我々にとって都合の悪い環境問題になっていないだけで、
実際にはどこかで何かが起こっている可能性が少しでもある以上
「環境に優しい」「地球に優しい」を自分から言うというのは、
とても傲慢でおこがましいことなのです。
◎地球にとってみれば人の営みはすべて環境破壊
というわけで、僕は「環境に優しい」「地球に優しい」を自分から言うメーカーは1番信用ならないと思ってます。
現在では一応市販品であっても洗剤ならここ2~30年の観測の結果として環境負荷は少ないものが使われていると僕は考えています。
日本では大きな環境問題はここ30年以上は起こっていません。
(もちろん分かっていないだけの可能性もあります)
ちなみに、環境影響についてメーカーが自分で言うなら
「私たちは環境に配慮しています」くらいの表現なら許されるし妥当だと思います。
環境さんにとって実際どうかは分かんないですけど一応私は配慮しているつもりだ!、ということですからね(^_^;)
こちら側のスタンスを表明するのは別に良いと思います。
ただ、
実際のところ環境さんからしてみれば人間の営みなんて全部環境破壊なんだと思います。
もちろん大なり小なりありますが。
似た話でこないだTwitterを見てた時に
「人へのタバコの害が分かる動画!」みたいなのがリツイートされて回ってきて、
めっちゃタールとかが溜まっていって凄いんですけど、
その動画のコメントを見ていたら
「でもタバコって人間を殺すから環境には優しいよね。」
みたいなことが書いてありました。
コメントした人がどういう意図で書いたかは不明ですが、
「なるほどなぁ…」
と妙に神妙になってしまった自分がいました。
環境や地球にとっては「人間」そのものが最も重大な環境破壊物質なのかもしれませんね。
だからこそ環境研究はこれからももっと行われるべきだし、
地球と一緒に長く生きる方法を模索していく必要があるでしょう。
「環境に優しい」を自分から言うことはできないけれど、
限りなくそれに近しい「環境配慮」をどの企業にもお願いしたいし、
僕自身それを強く意識した商品をこれからも粛々と作っていきたいなと思います。
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