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昨月に資生堂が以下のようなプレスリリースを発表して話題になりましたね。
▶資生堂、世界初の成分アプローチ※1 粉末の特性を最大限に引き出す新技術を開発 -メイクアップ製品を中心に広く活用 第一弾はマキアージュのBBクリームへ-
▶「マキアージュ」がマスクに色移りしにくいBBクリームを発売、資生堂の新技術を採用
“水をはじく性質をもつ疎水化処理粉末を油や界面活性剤に頼らずに水に分散する技術を世界で初めて開発”して、
その技術をはじめて搭載したという
【マキアージュ ドラマティックヌードジェリーBB】
が11月21日に発売していました。
「マスクに付きにくい」と言う点や「油や界面活性剤に頼らない」などの点が非常に興味深いです。
今日はこちらの新商品を実際に入手してみたので、
その成分の特徴について解説していきます。
◎【マキアージュ ドラマティックヌードジェリーBB】の基本の使用感
まず成分等にはあえて触れずに、
基本の使用感から解説していきたいと思います。
こちらは以下のように、キラキラの蓋がついたチューブ式のアイテムですね。
お肌に出してみると↓こんな感じです。
「ジェリー」というからにはもっと水っぽい半透明のゲルみたいなものをなんとなく連想していましたが、
実際にはそんなことはなかったです。
普通の下地などと似たような感じですね。
ただ、触感自体は確かに一般的なクリームよりも水っぽい印象があります。
伸ばすと、以下のように水々しく伸びていきます。
均一に伸ばすとこんな感じでした。
う~ん、これだと、『BB』という割にはかなり薄付きの印象がありますね😅
ちなみにこれが↓何も塗ってないバージョンなのですが、
ちょっと艶っぽくはなって見えますが、ご覧の通りカバー力はかなり低いように感じました。
粉体量自体があまり多くないように思いますね。
「薄付きなのに毛穴・色ムラカバー」とあるものの、
色ムラ程度はうっすらカバーできそうではありますが毛穴はあまりしっかりは隠してくれないと思います。
一般的なBBクリームと同じくらいのカバー力を期待していると、
ちょっと肩透かしを食らうかもしれませんね。
これだとCCクリームくらいのイメージです。
◎「洗い流しやすさ」の検証
次に、洗い流しやすさの検証です。
こちらのリリース情報では、
▶マキアージュから、世界初の成分アプローチ※1を搭載したマスクにつきにくい「ヌードジェリー BB」登場!
「洗顔料で落とせる」と書いてあるのですが、
これが事実だとしたら結構凄いことなんですよね。
「マスクに付きにくい」
とはつまり、一般的には皮膜が強固で剥がれにくい=洗浄しにくいを意味しています。
マスクに付きにくいと言われているファンデーションなどは大抵崩れ防止の樹脂成分などを配合しているため
洗顔料のみで落とすのは通常は困難なのです。
なので、もし本当に洗顔料のみで落とせるとしたら中々凄いですよね。
で、実際に手に塗ってみたものを洗顔料で落としてみると、
確かに落ちているような気がしますね…!
ただ色がベージュなので本当にちゃんと落ちているかどうかはイマイチよく分かりません。
そこでこちらで洗浄の実験をやってみました。
クリアフィルムに載せたジェリーBBをしっかり乾燥させて、
真ん中だけを実際に石けんで洗ってみます。
くるくるくると10秒ほどなじませまして、
実際に水洗してみたのがこちらです↓
左:水のみ 真ん中:石けん+水 左:洗ってない(ちょっと水がかかった)
という感じになっているのですが
この結果を見ると石けんでもじっくり洗わないと肌に残る可能性がありそうですね。
マイルドな洗浄力の洗顔料などだとかなり残存してしまうかもしれません。
ちなみにオイルクレンジングだと簡単にするりと落とせました。
(ファンケルマイルドクレンジングオイル使用)
ただ、時間が経過すれば皮脂や汗などで落ちやすくなるので、塗布後時間がかなり経っていれば洗顔料だけでOKという場合もあると思います。
粉体等が残存するとニキビなどができやすい人は、できればクレンジングを推奨したいところです。
◎本当にマスクに付きにくいのか?不織布マスクとモデル汗&皮脂で検証
次に『実際にマスクに付きにくいか?』を検証してみました。
さきほどと同じようにクリアフィルムにジェリーBBを塗布して乾燥させます。
まずはこのままの状態で「不織布マスクの切片」を付着させ、
上から抑えたりグリグリしたりを10秒ほど続けてみました。
するとこんな状態で、たしかに不織布マスクへの付着はほとんどありませんでした。
疑似汗として「食塩水」を少量垂らして同じようにマスク切片への付着を見てみました。
するとこんな感じです↓。
先程、水だけの洗浄でもそこそこ流れていたことから、
水分豊富な「汗」の場合は結構落ちてしまう可能性がありそうです。
汗を沢山かいた場合はマスクに色が移ったり、メイク崩れが生じるかもしれません。
次に「皮脂」でのマスク落ちを検証するために
皮脂と脂肪酸組成が似ている「マカデミア種子油」を少量垂らしてマスクへの付着を見ました。
結果はこんな感じです。
オイルで溶かしている割には比較的色移りは少なめの気もしますが、そこそこ移っているようです。
皮脂が多めだと完全にマスク移りを抑えるのは難しいかもしれません。
ちなみに同じ実験を『腕』でも行いましたが、
(この辺一帯に塗っているのですが、あまり色が見えません…)
乾燥状態で付着させた場合↓
モデル汗を馴染ませてから付着させた場合↓
↓モデル皮脂を馴染ませてから付着させた場合↓
腕の場合は薄く伸ばしてしまっているので色が少し見にくいですが、
乾燥状態でのマスクへの移りにくさは確かだと思います。
ちなみに汗や皮脂では多少の色移りはあったものの、
他のファンデーション等と比べると色の移りは比較的少なめとも言える結果でした。
例えばセザンヌラスティングカバーファンデーションなど「崩れ防止効果がそこそこ高い」ファンデーションで検証すると、
・汗でもそこそこ移る↓
・皮脂汚れには多少強め↓
という結果だったので、乾燥状態でのマスクへの色の移りにくさは非常に高いと思います。
一方で耐水性や耐油性はさほど高くない印象があります。
まとめると
乾燥状態でのマスクへの付着は確かに非常に少ないが、
汗や皮脂が出た時はある程度付着するのは覚悟すべし。
という感じでしょうか。
今回比較したのは崩れ防止ファンデですし、
一般的なファンデーションとかに比べれば「マスクに付きにくい」という評価は十分可能だと思いました。
(ちなみに今回は不織布マスクで検証しましたが、綿マスクとかだとそんなに効果ないかもしれません;)
◎『疎水化処理粉末を油や界面活性剤に頼らずに水に分散する技術』とはなんだったのか?
さて、マスクに(そこそこ)付きにくいというのは確かなことが分かったのですが、
これは一体どういう技術によって達成されたのでしょうか?
多分一般の方はそこまで注視してなかったと思うのですが、
我々専門家的には一番重要なのはここでした。
それで、元々の『プレスリリース』では、先程も引用したように
「疎水化処理粉末を油や界面活性剤に頼らずに水に分散する技術」
を搭載した、とハッキリ記載しているんですよね。
油や界面活性剤に頼らずに疎水化処理粉末(=水に溶けにくい粉)を水に分散するというのは、
我々専門家からするとこれは本当に凄いことで、
これが実現できた!とプレスリリースで大見得を切ったからこそ
このリリースが出た時には専門家陣もかなり期待を込めて反応していたんですよね。
ちなみに、なぜこれが可能になるとマスクに付着しにくいBBができるのか?というと、
油自体がそもそもマスク(不織布)に吸着してしまいやすいことと、
界面活性剤が配合されていると皮脂とか汗とかが出た時にそれを粉体とかが混ざり合いやすくなるため、
油も界面活性剤も使わずにうまく肌に密着するファンデが作れたら
確かにマスクには付着しにくいかもしれない…という話なんですよね。
ちなみに既存製品だと油分を含まないルースパウダーがその形態に一番近いですが、
(実際にマスクに付きにくいですよね)
結局パウダーは下地とかがないと肌に綺麗に密着できないので
仕上がりとかを考えるとこれだけでは完璧ではないわけです。
それで、「BBクリーム」で「油や界面活性剤を使わない」としたら、
限りなくその理想に近い凄いものができたぞ!と
我々は思ったわけですよ。
…しかし、、、
これはなんとも残念なことに…。。
実際には蓋を開けてみたら
「油」も「界面活性剤」も普通に使われていた
というのがその種明かしでした。
◎【マキアージュ ドラマティックヌードジェリーBB】の成分について
こちらの製品の全成分表はこちらですが、
上段一段目に「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」という成分が入っていますよね。
これは「紫外線吸収剤」の一種です。
しかも紫外線吸収剤の中でも「オイル」の性状の成分で、つまり油ですね。
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは紫外線吸収剤ではあるものの、
成分自体は明らかに油分ですから、これをこの高濃度で配合していて
「油に頼らない」はさすがに無理があるように思います…。。
多分どの専門家に聞いてもメトキシケイヒ酸エチルヘキシルは「油」だって答えると思いますよ。。
ちなみに紫外線吸収剤はこの他に粉末の成分が二種類配合されていて、
・メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール
・ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン
SPF50/PA+++と比較的高めのUV防御指数です。
そして
下段から4段目に書いてある「ジステアリルジモニウムクロリド」と、その少し上に書いてある「デシルグルコシド」と言う成分。
この2つはいずれも界面活性剤の一種です。
前に別の記事で「界面活性剤っぽい成分は定義が曖昧」みたいな話をしたことがありますが、
この成分についてはどちらも代表的な界面活性剤なんですよね…(- -;)
しかもプレスリリースによると【世界初の成分アプローチ※1】と銘打っているものの内容が、
※1 汗や水に強いカバー成分が肌に均一に密着し薄れにくくなるためのキー成分(ジステアリルジモニウムクロリド、合成金雲母)(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー、DPG・BG・グリセリンから選ばれる多価アルコール)の選択が世界初である。
って書いてあるので、その根幹技術がモロに界面活性剤に頼ったものだったというオチ。
結局粉体と水と油を界面活性剤で混ぜてるだけじゃん…という。。
マスクに付きにくいのは良いけど、
プレスリリースの内容が明らかに間違ってるんですよね。。。
なのでなぜあのプレスリリースを大見得切って出したのか、
本当に不思議でなりません…。
◎なぜこの成分でマスクに付着しにくい被膜が作れるのか?
ちなみになんでこの成分でマスクへの付着を抑えられるのか?
それは詳しいことは分かりません。プレスリリースにも書いていないので。
ただ、幾つか考えられることとしては、
配合している界面活性剤「ジステアリルジモニウムクロリド」の特性が関係しているのではないか?と僕は思います。
この「ジステアリルジモニウムクロリド」は、これまで何度も解説したことがある
「陽イオン界面活性剤」の一種です。
陽イオン界面活性剤はトリートメントや柔軟剤などの主成分として利用されているもので、
皮膚などに吸着しやすい特徴を持っています。
この界面活性剤の吸着性によって、粉体が肌にピッタリ密着するので肌上のファンデーションがマスクに移りにくいのではないか?と僕は考えています。
あと「トリメチルシロキシケイ酸」という崩れ防止作用のシリコーン樹脂も配合されているので、
これも一枚噛んでいると思います。
詳しいことは不明ですので、あくまで予想ですが。
◎敏感肌にはかなり刺激の強い成分構成!?
そして、ご存知の方はご存知の通り、
陽イオン界面活性剤は肌に優しい成分ではありません。
僕的には一番肌に乗せたくないと思っているような成分の一つです。
主に洗い流しのトリートメントなどに使うもので、
スキンケア化粧品やメイクアップコスメに使われることはとても稀です。
普通のメイクアップコスメでは「非イオン界面活性剤」という肌に優しい乳化剤を使用してコスメを作りますが、
このジェリーBBはその界面活性剤を使用せずに
本来メイクアップコスメには不向きの陽イオン界面活性剤を使うことで、
肌への優しさを差し出して、マスクに付きにくい処方というのを作っているといえます。
(実際に肌に塗っているときから既にピリピリ感があります。)
また、主成分のメトキシケイヒ酸エチルヘキシルや、
あと2つの紫外線吸収剤も、いずれも肌に優しいとは言えない成分です。
そういった刺激の強めの成分が主体に配合されており、
かつ界面活性剤も普通のメイクコスメのそれではないので
敏感肌の方には本当に注意してもらいたいと思った製品でした。
カバー力自体もかなり低いので、使う意味がそもそもあるのか?という気もしましたが…、、
あと、プレスリリースについては、本当に怪訝に思っています。
あの資生堂が間違えるはずのないレベルの誤りですので、
おそらく意図的にプレスリリースでは上記のようなPRを行った可能性が高いと思います。
(実際発売後の製品ホームページなどには「油や界面活性剤に頼らない技術」などには一切触れていません)
この【プレスリリース】の怪しいところについては色々お話したいことが他にもあるので、
また今度詳しくブログ書きたいと思います。
長くなりましたが今日のところは以上です!
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